• 創業

  1928年

  創業者・遠藤養吉が鹿島台の小さな店から
  吉岡へ呉服店を開業

  1928年12月、宮城県志田郡鹿島台（現・大崎市鹿島台）で、少しの食料品や雑貨を並べた小さな店を開業。思うような収入を得られず、義父の協力を得て呉服を背負って行商に出た。商売が順調に推移したことに満足せず、理想とする「良品廉売」を貫こうと人の多い場所で商売を始める。1936年、黒川郡吉岡町（現・大和町吉岡）の呉服店を買収し、「遠藤屋呉服店」を開業。これが、エンドーチェーンの第1号店となる吉岡店の基礎となった。

  

  

  1946年

  戦争へ養吉が出征、
  戦後は長男・養一と共に衣料品店を再開

  1946年8月、養吉は復員後吉岡で衣料品店を再開。養一は9月に七十七銀行を退職し、父と共に遠藤屋の再興を目指した。戦中、戦後・統制当時の「衣料切符」という制度があったが、父子が競争で販売して売上増進に務めた。「衣料切符」とは、先の大戦時に、国民一般の繊維製品の消費を規制するために設けられた統制切符制度である。1950年9月に廃止され、衣料自由販売時代を迎えたが、その後「大量仕入れ・大量販売」の方針の基で業績を伸ばし、翌年1月、株式会社遠藤養吉商店へと法人組織に改組した。

  

  

  

  

  1959年

  古川市三日町に２号店を開設、
  あの人気歌手のショーを実現

  1959年4月、宮城県古川市に第２号店となる古川三日町店を開設した。この時に、お買い上げ金額ごとに旅行や記念品をプレゼントするなど、顧客との深い付き合いを願うシステムを考え出していた。古川三日町店は驚異的な売上の増大を示した。養吉は「良い品を安くうることができるのは買ってくれるお客様がいるからこそ」と感謝の気持ちを表すため、人気歌手の歌謡ショーなど販促企画を実施した。なかでも大きな反響を呼んだのが、当時、地方興行はほとんど実施しなかった「美空ひばり」のショーだった。

  

  

  1962年

  仙台宮町に東北初SSDDSオープン、
  （株）遠藤屋へと社名変更

  1962年11月、遠藤養吉商店から「株式会社遠藤屋」を法人名と変更。12月に仙台市宮町に第3号店・仙台宮町店を開店。東北地方としては初の「SSDDS型（セルフ・サービス・ディスカウント・デパートメント・ストア）」が誕生した。仙台駅前、仙台市役所前、東一前発車、宮町店直行のバスを、延べ50台用意。仙台市民の話題は無料送迎バスの運行に集中した。初日は仙台市民の約40%にあたる18万人が宮町支店を訪れるという結果になった。

  「発展」へ続く

  

  

  

• 発展

  1964年

  仙台駅前店オープン、東北初のボーリング場を屋上に開設

  宮町店の成功のあと仙台市中心部へ新店舗を作ることに決めたが、用地買収は難航。そこで浮上したのが、仙台駅前南端の日本通運の倉庫の隣地だった。しかし、当時の仙台駅前南端は今でこそ東北の玄関口の真正面に一致する一等地だが、商業施設は少なく閑散としていた。1964年開業の仙台駅前店は地階が食品、１階が婦人用品、２階が紳士・子ども洋品、3階が寝具・呉服、4階が荒物雑貨、5階が食堂、6階がボウリング場という魅力的な店舗構成だった。特に東北初のボウリング場は大きな話題となった。

  

  

  

   

  サテスタ「ミュージックショーウィンドー」の
  ラジオ生放送がスタート

  仙台駅前店1階に初めてのTBC東北放送ラジオサテライトスタジオ（通称サテスタ）を設けた。ラジオでしか接することのできない著名な歌手の歌を「ナマ」で見せたい、聞かせたい、お客様に恩返しがしたいという考えだった。当時のサテスタは全面ガラス張りのボックスで、毎日昼休みの45分間「ミュージックショーウィンドー」の生放送が行われた。1972年に完成した新館のサテスタは、よりゲストの体温が感じられるオープンスタジオになり、毎日のラジオ放送をはさみファッションミニショー他多彩なイベントの発信基地となった。また、ラジオ放送は平成3年8月まで続けられ放送回数は1万回を数えた。

  

  

  1972年

  さらなるチャレンジへ、仙台駅前店増床オープン

  1964年9月に（株）遠藤屋から（株）エンドーに社名を改称。1970年4月遠藤養一が取締役副社長に就任。5月には社名も（株）エンドーチェーンに改称した。同時に初の東京下北沢店への出店他、宮城、岩手、福島へと積極的なチェーン展開を図った。仙台駅前店の「大店舗化」計画の営業形態はスーパーとデパートの長所を取り入れた独自のスタイルをとり、着工から1年半をかけ、これまでにない魅力を盛り込んだ新・駅前ビルが大いに注目を集めた。

  

  

   

  仙台の休日を変えた家族に優しい「屋上スカイランド」

  家族揃って来てほしいという願いを仕掛ける場として「屋上スカイランド」は巧みに機能してきた。屋上スカイランドのステージは、歌謡ショーやテレビのヒーロー、オリジナルキャラクター「森の仲間たち」の着ぐるみショー、ゲーム大会やクイズ大会などが行われていた。特に話題になったのはジャブジャブ広場「特設子どもプール」である。夏のプールに対して、冬はスケート場を設け、子どもたちに無料開放した。氷を張ったものではないが、アイススケートに近い感覚で遊べる場だった。

  

  

  1977年

  「寛斎・イッセイ・ケンゾー」 ショップ開設とファッションショー開催

  1977年、仙台駅前店に特選サロンとしてやまもと寛 斎、三宅一生、高田賢三のショップを同時開設し、エンドーチェーンにファッション路線の下地ができた。70年代、パリコレなどヨーロッパでコレクションを 発表し世界的に活躍していたのがこの三人だった。他にも続々と一流デザイナーのショップを開設した。また、1978年〜1979年にかけ本場のパリコレ、ニューヨーク、ミラノの現地取材を実施。特番として放送するほか、山本寛斎のファッションショーを展開した。人の体にふれ、動いてこそブランド良さが伝わると考え、ショーなどのイベントを多面的に展開した。当時、一部のメディアでしか目にふれる ことがなかった最先端のファッションが仙台の若い女性にとって身近になり、流れを変えた。

  

  

  

  1978年

  エンドーチェーンの新たな船出。遠藤養一、新社長就任

  創業者の逝去という悲しみを乗り越え、エンドーチェーン取締役会は1978年2月13日付けで遠藤養一を新社長に選任する。当時は不況下にありながら、前年度決算は目標をクリア。従業員賃金のアップ率も10%強という高水準を維持していた。また、新年度に入ってからの経営も好評な滑り出しだった。しかし、新社長は「今こそ先代社長が年頭の辞で語った『適者生存』の正念場」と捉え、新たな出発にあたって従業員に強い結束を呼び掛けた。

  

  

  1978年

  宮城県沖地震が発生、養一新社長の市民のための決断

  養一新社長の就任から4ヶ月後の1978年6月2日、宮城県を中心に 北海道から中部地方までの太平洋沿岸部一帯を強い地震が襲った。宮城県沖を震源とするM7.4の「宮城県沖地震」の発生である。生活機能がマヒ状態に陥り、市民生活は混乱するなか、市価6千円の卓上コンロを3千円の値札を貼り販売する体制をとった。 市民が困っているため採算は度外視した。さらに養一新社長 は「どんなことがあっても翌日開店する」という強い意志を全従業員に伝え、有言実行。各店舗とも大なり小なり被害はあったもののすべての店舗を開店させることができた。

  

  

   

  やさしく美しい「新井苑子イラストの世界」

  エンドーのブランドイメージは、新井苑子さんのイラストを抜きにして語れない。花、植物、果実、野菜などの自然をモチーフに、繊細で華やかなタッチで描くイラストは見る人の心を捉え、広告媒体で数々の賞を受賞している。当社制作担当が東京成 城の新井さん宅を訪ね、初めてお会いした際に「普通の人に愛されるイラスト｣を依頼した。工ンドーを訪れるのは、特別なお客様ではなく普通の人ばかり。そんな普通の人を包み込むようなやさしく、美しいイラストを希望した。季節ごとに店舗外装のフロントアートやポスター、ショッピン グバッグ、ギフトカタログなどで展開された。

  

  

  1981年

  仙台駅前の風景を代表するペデストリアンデッキと連結

  ペデストリアンデッキ（高架歩廊）は、1977年の建築開始から1981年8月の竣工まで、約5年の歳月と総工費20億7600万円を投じた大プロジェクトである。駅舎と駅前広場、周辺のビルと縦横無尽につながる大規模なペデストリアンデッキは、司馬遼太郎の「街道を行く」でも絶賛されている。商業ビルへの誘客目的で連結する部分については、それぞれが費用を負担して仙台市に寄贈する形をとった。仙台駅前店2階とペデストリアンデッキをつなぎ、さらに延長して地下鉄入口も設置した。工事費は全額を負担し、完成後はすべて仙台市に寄贈した。

  

  

  1982年

  東北新幹線開業により、仙台駅と都心が直結

  東北の高速新時代を担う東北新幹線が、1982年6月23日に開業した。1971年11月18日の着工から約11年の歳月を経ての開業 だった。当初は大宮〜盛岡間を約3時間半で結ぶ暫定開業だったが、大宮〜上野間は新幹線の乗車券を持つ人のみの専用列車として｢新幹線リレー号」が通行。盛岡〜東京の乗車時間が約半分の3時間弱分に短縮され、東京がグンと近くなった。1991年には東京駅乗り入れがスタートし、仙台駅と都心が直結した。東北の玄関口として、連日予想を上回る利用者が殺到した。

  

  

  1982年

  仙台きもの美人を特撮、東北新幹線開業記念「立木義浩写真館」

  1982年6月東北新幹線開業の記念イベントとして「立木義浩きもの写真館｣を開催した。「仙台のきもの美人」を公募して、プロ の写真家が撮影する企画だった。撮影するのは人気女優を数多く撮影し、 着物姿を撮影したら右に出るものはないと定評があった写真家、立木義浩氏。きものが好きな方、きものが似合う方を条件に呼びかけた。ユニークな企画で、テレビにも出演していた人気の写真家に撮影してもらえることも大きく、話題を集め多数の応募があった。

  

  

  1987年

  生まれ変わる仙台。仙台市営地下鉄の開業、仙台駅前店の大改装

  1987年7月15日、全国9番目、東北初となる地下鉄の開業である。エンドーチェーン仙台駅前店につながる地下鉄導入口は、仙台市が策定した当初のプランになかった。そこで、ペデス トリアンデッキの建設と同様、自社で費用を負担して仙台駅前店と結ぶ出入口を設けた。地下鉄の開業にともない、エンドーチェーン仙台駅前店は20億円という費用をかけて大改装を実施。大改装の基本コンセプトは「生活感動店」。お客様が来店するといつも新しい発見と驚きがある店づくりを目ざした。

  「躍進」へ続く

  

  

  

• 躍進

  1997年

  仙台駅前再生への模索、
  EBeanS（イービーンズ）誕生

  1991年11月に開店したSEIYO仙台店は西友が運営。1997年9月に仙台市太白区に開店す る「ザ・モール仙台長町」の運営に注力するため閉店を決定。1997年11月6日、複合商業施設｢EBeanS（イービーンズ）」の名で新規オープンした。ジュンク堂書店（本社神戸市）、カメラ家電量販店のさくらや （東京）、スポーツ用品店のヒマラヤ（岐阜市） といった東北最大規模の大型専門店のほか、 ファッション、飲食など東北初出店の34の専門店が入居した。

  

  

   

  EBeanS（イービーンズ）の名称はこうして決まった

  新しく生まれる店の名称は単なる思いつきではなく、経営者の理念が地域の顧客層に伝わるものでありたい、同時に共感を持って受け止めてくれるものでなければならない。構想の段階でいろいろな案が生まれては、消えていった。検討を重ねた結果、ENDO+BEANS=EBEANS とすることに決定した。BEENS（Beginning of ESTATE ENDO’s New Stage）※BEENは「継続」「経験」を意味する「BEENS」を「BEANS」とすればエンドウ豆となる）

  

  

  1999年

  渋谷系のトレンドショップが入店し、
  リニューアルオープン

  1999年、イービーンズの一層の発展を期待して、若者の支持を集める計40 店が新たに入店し、リニューアルオープンした。東京・渋谷のファッションビル｢渋谷109｣などで10代の女性を中心に人気を集める「セシルマクビー」「スピーガ」「マーズ」などが入店。イービーンズはティーンズ向けのファッションビルとして個性を際立たせた。その後もリニューアルを繰り返し、2005年6月「東北一の ヤングファッション店｣として、仙台で一番の品揃えを強化する方針を明確に打ち出し、第5次リニューアルを実施した。

  

  

  

  

  2008年

  エンドーチェーン創業80周年、「屋上復活祭」

  2008年8月16日、イービーンズは、エンドーチェーン創業80周年を記念して、多くの市民に愛された懐かしい昭和の屋上風景を再現した「屋上復活祭」を開催した。当日は悪天候にもかかわらず1000人以上が訪れ、往時の賑わいを思い起こさせた。お客様の笑顔を見て、遠藤養一社長は「仙台にしかないお客さんが喜ぶ仕掛けをつくる。駅前にもう一度お客さんを集め、次の世代の商売人に引き継ぎたい」と語った。

  「復興」へ続く

  

  

• 復興

  2011年

  東日本大震災の甚大なる被害を目前に

  2011年3月11日14時46分、突然イービーンズビルがカタカタと揺れはじめた。激しい揺れにとても立っていられない状況。強く揺れた瞬間、すべての照明が消えた。一瞬ののち非常用照明に切り替わったもののビル内は薄暗い。暗がりのなかを、男性社員は売場へ向かった。揺れがおさまった後、各テナントではスタッフ総出で、店舗内のお客様を非常階段へ誘導。隣接する北側駐車場を緊急の避難場所とした。ようやく避難し終えたころ、曇った空から みぞれまじりの雪が強く降ってきた。

  

  

  

  

  2011年

  継続か否か、苦境から困難を打開する決断

  1週間後に行われた建物損傷状況調査の結果は、深刻だった。旧館は使用不可能、新館も大きなダメージがあり改修が必要との報告ななされた。仙台市の一次診断も全壊。それでも遠藤養一社長は商売の継続を決断した。改修方法を模索する過程で、阪神・淡路大震災の際に、神戸市役所庁舎が下層階を補強して上層階を減築したという情報を得た。イービーンズもその方法を取り入れ、約20社の協力会社により、大規模改修工事を推し進めた。

  

  

  2011年

  休業中のシリーズ広告で、
  期待感のあるメッセージ配信を続ける

  長期休業に入って約3カ月目、 開店予告の3回シリーズ広告を2011年6月から8月まで、収入が無いなかで月1回出稿し続けた。出稿するなら、目を引くものにという観点から、河北新報のカラー5段見開きの広告を打ち出した。「仙台駅前の新しい顔として」「エンターテイナーとして」「新生イービーンズとしてオープンできるよう、安全・安心を第一に全力で取り組んでいる」といった言葉が、意思を伝えている。なにより営業再開を心待ちにしてくださっているお客様へメッセージを伝えたい想いが大きかった。

  

  

  2011年

  東日本大震災から245日、待望のプレオープン

  震災から8ヵ月後、11月18日プレオープンにこぎつけた。ファッションフロアの1.2階 は、まだ改装や空き店舗が見受けられたが、改装を待ち望んだお客様でにぎわった。新たにオープンしたイービーンズには、注目のスポットが誕生した。4階の屋上｢杜のガーデンテラス」。緑の木々に囲まれた空間は、季節の花木が植えられ、開放感のある屋上庭園。ステージやウッドデッキを設け、もっと楽しめる、もっと人が集まる魅力的な広場となった。

  

  

  

  2012年

  震災から約一年、
  カジュアル系に転換してグランドオープン

  2012年3月東日本大震災の発生から約1年ぶりに、イービーンズはグランドオープンし全館営業を再開した。積極的なリーシング活動により、新規テナントは18店舗にのぼり、全45店舗に。ファッションフロアには、カジュアル系ファッションのほか、子ども服のテナントもオープン。 震災前の「ギャル系ファッション」から「ファミリーカジュアル系」へ転換し、新たな道を歩みはじめた。想像や空想が広がる感性を刺激する空間づくりとイベントにより創業精神に回帰した、エンドーチェーン・イービーンズの情熱が詰まったものとして新生した。

  

  

  2015年

  イービーンズらしさを求め劇的に変化「サブカル」へ

  ファミリー・カジュアル系に切り替え、再始動したが、定着していたギャル系ファッションのイメージを払拭するのは難しかった。路線変更を社長に進言したのは、ビル周辺にあるアニメショップに若者が並ぶ光景に気づいていた役員や社員だった。社長はアニメを見てはいなくても、時代を先取りする感覚は染み込んでいる。「流行を先取りし、商売にするのが使命。新しい商品が仙台で買える場を提供したい」と決断。アニメ関連の店舗がそろって移転し、ファッションからサブカルチャーへ、7年ぶりの大きな転換となった。

  

  

  

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